おのめのめ楽園 [改]

Never done before!

騎士団長の夢をみた。。。

村上春樹の先月でた新刊「騎士団長殺し」を読みました。新書を買うのも久しぶりですが。(教団X以来な気がする。)

 

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

 

この新作ですが、もうブリブリのコテコテの「村上春樹」な小説でした。
ある意味において、村上春樹の小説が好きな人にはたまらない、安心・安全のいつもの「村上春樹」な小説です。

 

なんて安定しているんでしょう。この安定感は素晴らしい。

小説のセッティングが、もういつものパターンです。


いつもの?といっても、春樹さんの作品は、初期は随分ちがった形も取っていた気もしないでもないのですが。
みんなに期待された?ニーズに合った小説といった感じでしょうか。ファンのためにファンの求める形に描いた作品という気がしないでもない。本当に。

もしかしたら、マーケティング的な視点からみたら、まさにあるべき小説なのかもしれません。

 

主人公は、いつもの職業が怪しい(レアな職業)。あまり社会とうまく接点を構築できていないクラスターな人間。でもそのくせ食事に残り物でちょっとしたパスタとか作っちゃうし、プールとかで軽く泳いじゃうような自己完結力をもって、でもいつの間にか、人妻だかなんだかと、なんの苦労も無しにセックスしちゃうような、責任を他に求めるような行動も何気なくおこすような。

だれ?どこにいるのこんな奴?というキャラクターはいつものこと。

 

春樹作品に時々でてくるモチーフの、穴やゼムクリップも出てくる。
巻き込まれながら、また見知らぬ異世界に旅立っちゃう。可哀そうな主人公。


今回の新刊で、新しいのは、子供とか父親とかの関係性が話の底に横たわっている点でしょうか?その関係性の描き方や、いまどきにありがちなセッティングを奇異な形にコーティングする文章は流石としか言いようはない。僕のように独身な人間にも、親子の在り方みたいなものを、グサッと考えさせるような、計算されたセッティングと、その表現のコンテクストは見事でしょうか。


個人的には、下巻からの終わりへ向かう、話の広がり方と収め方が、ちょっと乱暴すぎて好きか嫌いか?とうとあんまり好きな感じではなかったかなと。感じましたが。
概ね、村上春樹っぽい村上春樹の小説は、大好きなのでいいんですけど。次作はぜひまた僕たちをソワソワさせてほしいものです。

 

作品に出てくる「騎士団長」を僕が描いたら、こんなになりました(涙)
こんなんが夜中に出てきたら、僕、泣くけど。

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